熱田神宮ガイドのコースをご紹介します。
Atsuta guide tour
熱田神宮研修会のお誘いです。
熱田神宮ガイド
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熱田神宮鳥居
舞楽殿
御殿酒樽
熱田神宮を随時ガイドの訪問地の一つとして選ぶ外国人旅行者は比較的多い。
訪れる目的は、都会の中で静かな空間を散策したい、日本の神や神社について知りたい、など様々です。
森の中に点在する宗教施設を巡り,日本人のこころの原風景とでも呼ぶべき世界を体感してもらえるガイドをしたいと思います。
熱田神宮は名古屋市南部の熱田台地の南端に位置し、かつては眼下に伊勢湾を臨むことができた場所に立地しています。
都会の中にあるのに静寂な雰囲気を感じることができる広大な空間(19 万㎡、名古屋城の有料区域とほぼ同じ)です。
境内には、クスノキの巨木が多く、樹齢千年前後と推定されるものが数本あります。
熱田神宮は、昔から「熱田さん」として親しまれ、年間700万人を超える参詣者が訪れます。
正月三が日の初詣客は毎年200万人を超え、子供の初宮参り、七五三、結婚式などでお世話になる人が多いです。
6月 5日の例祭は「熱田まつり」の名で知られ,献灯まきわらや花火が行われます。
その歴史は古代までさかのぼり、境内では長い伝統を持つ神事が続けられています。
神体は草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)。また、主祭神は熱田大神(あつたのおおかみ)で、相殿神は天照大神(あまてらすおおかみ)、素盞嗚尊(すさのおのみこと)、日本武尊(やまとたけるのみこと)、宮簀媛命(みやすひめのみこと)、建稲種命(たけいなだねのみこと)です。
[A]熱田神宮の概略
社殿の造営や修復は室町・江戸の幕府をはじめ、信長、秀吉、尾張徳川家などによって行われました。
1893 年、現在の位置に遷座し、建築様式も伊勢神宮とほぼ同じ型式の神明造に改造されました。神明造は弥生時代の高床式倉庫が起源だとされています。
第二次世界大戦でほとんどの建物を焼失しましたが、その多くは再建、修復され、現在に至っています。
焼失しなかった建造物や石造物などに、清雪門、南本宮社本殿、西楽所、信長塀、佐久間灯籠、二十五丁橋があります。
境内には本宮のほかに、別宮一社と摂社・末社が二十七社あり、多くの神々が祀られています。
なお、熱田神宮の「神宮」は皇室とゆかりの深い由緒ある神社に与えられる呼称だそうです。
熱田大神は皇室の祖神の天照大神でもあるといわれています。

[B]熱田神宮の伝説
創祀神話:スサノオ(素盞鳴尊)が退治したヤマタノオロチ(八岐大蛇)の尾から出現した剣は、後に伊勢神宮斎王のヤマトヒメ(倭姫命)から東国平定の途上のヤマトタケル(日本武尊)に手渡されました。
ヤマトタケルが草原で賊に火を放たれ襲われた折、この剣で草をなぎ払い窮地を脱したので草薙剣と呼ばれています。
ヤマトタケルはこの剣を氷上の里(緑区大高町氷上山)にとどめおいたまま伊吹山に出向き、亡くなりました。
死後、妃である尾張国造(おわりくにのみやつこ)の娘ミヤスヒメ(宮簀媛命)がこの剣を祀りました。
なお、熱田神宮は、2013 年が創祀 1,900 年だとして、「創祀千九百年大祭」を行いました。
ただし、草薙剣の創祀(熱田社の創建)は別の年代だとする説や年代不明とする文献もあります。
蓬莱(ほうらい)伝説:中国では東方の海に不老不死の仙人の住む蓬莱山(蓬莱島)があるといわれており、熱田神宮とその周辺が蓬莱山にあたるとの言い伝えがあります。
「蓬莱軒」や「蓬左文庫」はこの伝説に由来します。
楊貴妃(ようきひ)伝説:熱田大神が楊貴妃(719~756、玄宗の妃)に姿を変えて、日本侵攻を企てる中国(唐)の玄宗皇帝の野望を止め、その後、日本に戻り熱田で生涯を終えたという伝説。
中国で死んだはずの楊貴妃が熱田で生きていたという話で、蓬莱伝説に関連してできたそうです。

[C]日本の神社や神について
神社は神道に関連する聖なるものがある空間です。
現代では一般に常設の建物があります。
太古の人々は山、岩、森などの自然物をはじめ、森羅万象を神々として崇めました。
神道はその神々を崇拝する素朴な信仰から始まった多神教で、日本独特のものです。
多神教という意味ではインドのヒンドゥー教に似ているかもしれません。
キリスト教、イスラム教、仏教などと違い、神道としての開祖はいませんし聖典・経典もありません。
6世紀に伝来した仏教や、8 世紀に編纂された古事記・日本書紀の神話の物語など、それぞれの時代の影響を受け変化しています。
簡単な説明がしにくいです。しかし、現在でも毎年の暮らしや人の一生に深くかかわっており、日本人の心に影響を与えています。
ちなみに、平成 29年度の宗教統計調査によると、神社は全国におよそ 81,000 社(寺はおよそ 77,000)あるそうです。
なお、神道の神々のことを日本人には「神様(カミサマ)」という人も多いですが、この資料では「神(カミ)」と書きます。
神の英語訳として、“kami” ,“god” ,“deity”がよく使われ
ています。“kami”はすでに英語になっています。キリスト教では唯一絶対神を表す言葉と
して“God”を使います。“G”を大文字にして冠詞もつけずに用います。
一方、「八百万の神」と言われるように、神道は多神教であり、数多くの神がいるため、“g” を小文字にして“a god” や“gods”のように数えられる名詞として使っています。
“deity”は、ギリシャ神話に登場するゼウス(ラテン語では“Deus”)に由来する言葉で、多神教の世界観の中で使われます。
しかし、“deity”は通じにくいです。

[D]ガイドスポット 1 : 正門(南門) Main Gate
熱田神宮は神道の神社です。
神道は自然と先祖に対する崇拝に基づく日本固有の宗教です。
この熱田神宮は 1,900 年以上の歴史があるといわれています。
神体は三種の神器の一つである剣です。本殿に祀られています。
境内にはいろいろ見所がありますが、まず、本殿に参拝に行きましょう。
本殿のある本宮は、この参道の突き当り、約 400m先にあります。
参拝した後に、おすすめのスポットに立ち寄りましょう。
この第一鳥居はヒノキで作られ、塗装はされていません。
素朴な様式ですが、それは神社の歴史が古いことを表します。
鳥居は一般に神社の入り口にあり、神域と俗界との結界を示します。神社のシンボルです。
大規模な神社には複数あります。
全国的には 60 種類ものバリエーションがあり、朱色のものなど印象的な鳥居もあります。
本宮に行くまでに三つの大きな鳥居(第一鳥居→第二鳥居→第三鳥居 の順)をくぐります。
それらの鳥居をくぐるたびに、より神聖な領域に近づくことになります。
鳥居をくぐる時に会釈(軽く一礼)します。会釈する位置は鳥居の中央は避けます。

[E]ガイドスポット 2 : 参道 Approach / Path
参道は参拝するための道です。
玉砂利が敷いてあります。歩く音で邪気を払い、神に「これから向かいますよ」と知らせる意味があります。
参道の端を歩くのが礼儀とされています。真ん中は神の通り道です。
参道の背後にはうっそうとした森(鎮守の杜)が広がっています。
クスノキの樹冠面積が最も大きく 5 割を超え、ムクノキ、イチョウが続きます。
ことにクスノキは巨木が多いです。
参道沿いには霊力の宿る木のオガタマノキ(注 2-2)があります。
参道沿いには小さな鳥居や小さな社がいくつか見られます。神道には数多くの神がいるからです。
灯籠(とうろう)もところどころで見られます。夜の参道を照らします。
中には高さ約 8m の大きな石灯籠もあります。祈願によって難破を逃れたことへの感謝を表すために奉納されたものです。
(現参道の橋の上から西方に二十五丁橋(にじゅうごちょうばし)を見ることができれば)
石の板 25 枚で造られた名古屋最古といわれている石造太鼓橋です。
昔は旧参道が神宮をめぐる掘割を渡るところにかけられていました。
ここからは馬に乗っては入れない下馬橋でもありました。

[F]ガイドスポット 3 : 手水舎(てみずしゃ) Building for Purification Ceremony
手水舎は、参拝者が本宮に行く前に水で手と口をすすぎ、心身を清めるところです。
やり方を見せます。もしよかったらやってみてください。
① 柄杓(ひしゃく)を右手に持ち、左手を洗う。
② 柄杓を左手に持ち、右手を洗う。
③ 再び、柄杓を右手に持ち、左手に水を受け、口をすすぐ。
④ 左手を洗い流し、柄杓を立てて柄を洗い、柄杓の表面を下にして置く。
(手水舎と大楠の間の酒樽について質問があった場合)日本酒を入れる樽を模したものです。
酒は米から造られます。古来日本人は米の豊穣に感謝し、酒を神に捧げてきました。
醸造所が奉納したものです。

[G]ガイドスポット 4 : 大楠 (おおくす) Giant Camphor Tree
境内にある大きな楠の一つで、樹齢はおよそ 1,000 年と言われています。
連縄(しめなわ)が張りめぐらされ、神木であることを示しています。
巨木には神が宿ると信じられています。
この木の中に空洞があり、大きな蛇が住んでいます。

[H]ガイドスポット 5 : 本宮(ほんぐう) Main Shrine
ここが本宮です。
正面に見える建物が拝殿です。屋根の頂上に勝男木(かつおぎ)がそえられ、屋根の両端には千木(ちぎ)が付けられています。
奥に本殿があります。拝殿の向こうの広場で、神職が祭礼を行います。
一般の参詣者はここから中には入れない神聖な空間です。
よろしかったら、拝殿の前で参拝をしましょう。
参拝の仕方を見せましょう。
①小銭を賽銭箱に入れる
②二拝、二拍手をする
③静かに祈る
④最後に一拝をする
(本殿が見えるところで)もっとも奥にある高い建物が本殿です。
主祭神が祀られている中心的な建物で、中に神体の剣が安置されています。
剣そのものは誰も見ることができません。
建物の形は日本で稲作が始まった時代の米蔵が原型であるといわれています。
古来、日本では米粒にも神が宿るといわれてきました。

[ I ]ガイドスポット 6 : 授与所(じゅよしょ) Amulet Office
家内安全・業務繁栄の神札(しんさつ)や、健康長寿、災難除、合格、安産などを祈るお守りを授与しています。
おみくじで自分の運勢を占うこともできます。
大吉から大凶まで各種あって、運勢を占ってくれます。
おみくじを引いたら、それを指定された所に結び付けます。
そうすることで、もし凶をひいたら、不運を後に残して去ることができます。
よいおみくじはそのまま持っていてもよいです。
絵馬には願い事を書いて、指定された場所につるします。
参拝のあかしとして御神印もいただけます。

[J ]ガイドスポット) 7 : 神楽殿 (かぐらでん) Ceremonial Dance Hall
神楽殿(2009年に再建されました。)で初宮参り・安産・厄除・家内安全などのご祈祷が行われます。神聖な音楽や巫女(みこ)による舞が演じられます。

[K]ガイドスポット 8 : 清水社 (しみずしゃ)
(神楽殿と清水社の間の土用殿の前で)土用殿(どようでん)は旧本殿の東側の建物です。
本殿が現在の位置に移るまで、この建物に草薙剣が祀られておりました。
戦災により焼失しましたが再建されました。
清水社の祭神は水をつかさどる神。
楊貴妃伝説にまつわる美のパワースポット。
楊貴妃は中国の皇帝の妃。日本では絶世の美女としてよく知られています。
湧き水の中の石は楊貴妃の墓石(五輪塔)の一部と言われています。
その石に水をかけて祈るとお肌がきれいになり美人になると言われ、若い女性たちにパワースポットとして人気があります。
本殿が移ったのは 1893 年。
それ以前は旧本殿(正殿と土用殿)のあった旧本宮から現在の南門駐車場までまっすぐな参道が続いていました。
この旧参道は現在も残っており通ることができます。
※清水社の奥から本宮の北や西を巡る「こころの小径(こみち)」があります。
神秘的で厳かな雰囲気が漂う森の中の散策路は大都会にいるのを忘れて歩くことができます。
外国人旅行者が建物より自然を楽しみたい、あるいは、時間が充分あるようでしたら、ガイドコースに加えるとよいと思います。

[L]ガイドスポット 9 : 信長塀 (のぶながべい)
(神楽殿と信長塀の間で)西楽所(にしがくしょ)は空襲で焼失しなかった古い建造物の一つです。
桧皮葺(ひわだぶき)の屋根が美しい。
舞楽神事では、神楽殿前の広場に設置された舞台で舞楽が行われる。西楽所の中で楽が奏される。
信長塀は400 年以上前に造られた壁の一部です。織田信長が祈願によって戦勝したことへの感謝のしるしとして奉納したので、信長塀と呼ばれています。
そのストーリーから、勝負運を祈願するために訪れる人も多いスポットです。
この塀は土塀に屋根を葺いた築地塀。この塀は、練り土(土と石灰と油を練ったもの)と瓦を交互に積み重ねて強固にしてあります。当時この塀は旧本宮境内の南と西の境を囲ってありました。
織田信長を知らない人がいれば、“a famous samurai”とか、“one of 3 great heroes of Nagoya”などと付け加える。
戦勝した戦いは桶狭間の戦い(1560 年)。

[M]ガイドスポット 10 : 文化殿・宝物館(ぶんかでん・ほうもつかん)
(文化殿・宝物館の少し手前で)六つの小さな社が一列に並んで鎮座しています。
文化殿の中の宝物館には 6,000 点以上の宝物を収蔵されています。
収蔵品は、古文書、古鏡、舞楽面など多彩であり、神体が剣であることから、刀剣類が多く、名刀の宝庫として著名です。
重要文化財に日本書紀の写本もあります。
なお、「剣の宝庫 草薙館」が建設中で、国宝・重要文化財の刀剣を始め、古くより神に捧げられた日本刀 約 60 口が収蔵展示されるようです(2021 年秋竣工予定)。
※ここからは南神池のある休憩所が近く、東門、西門にも近いです。
ここでガイドを終了することもできます。
休憩所付近は 2020 年 8 月現在、工事中。「くさなぎ広場」として整備され 2021 年秋竣工予定。
引き続きガイドを続ける場合、旧参道を通り、正門(南門)付近で解散することができます。

[N]その他のガイドスポット
時間が有ればまだまだご紹介したいスポットが有ります。

[O]終わりに

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